福岡書芸院は、書を学ぶことで心に張りが持てるような学びの場を目指しています。「じゆうであることのまなび」は私がライフワークにしている心の在りどころです。「自分のおもいを、自分の字で書こう」というのが本会が目指す書です。でも、ただ自分の好きなものを自由に書くだけでは、一時の楽しみが得られるだけで豊かな学びとはなりません。長い歴史を持つ日本や中国で大切にされて来た書の素晴らしさとは何なのか、なぜこのような書が大切にされたのかを学ぶことも、感性を豊かにするために必要なものです。古典という文化遺産により多く接し、その理解に力を注ぎながら書に親しんでもらいたいと考えています。
　日本人であれば絵巻物や平安の仮名文字をすらすらと読めるようになりたいものです。また漢字を学ぶのであれば、やっと解読された甲骨文や金文、また難解な草書を読めるようになることも魅力の一つです。仲間同士で様々な文字を使った手紙のやり取りなどは、とても面白い遊びとなるでしょう。もちろん好きな文字を自分のイメージで作品にし、学んだものを身近な生活に生かすことが出来れば、書の学びが人生を豊かにする大きな存在になると思います。このように書を学ぶ人々の輪を広げることができるなら、新しい時代の文字文化の到来も夢ではないと思っています。