自分の作品を正面から見つめるのはなかなか難しい。気恥ずかしさと、後ろめたさとが重なってしまうからだ。もっと時間をかけて、練習を積んで、もっともっとと自分を追い詰める反面、今ある「自分」に無いものは書けないのだと言い聞かせて開き直るあつかましい私がいる。
今回の作品展で、高校生のものとは思えぬ程の内なる思いを、美しい文字で綴られた作品に触れ、純粋な思いを込めて書いた文字の持つ力の大きさに改めて気付かされた。私の作品の自詠句、構図は、墨色は・・・私は彼女ほど真摯に自分と向き合っただろうか?
しかし作品作りは苦しいだけではない。先生やお仲間に助けられ励まされ、いつもと違う緊張感の中で、書き溜めていく半紙の散らかる部屋は微かな墨の香と充実感で結構居心地がよいのも事実だ。また作品は丁寧な表装を施され、季節の花々で飾られた会場でライトを浴び、見違えるほど立派になって飾られていた。手を尽くして頂いた沢山の方々に感謝し、次の一瞬に向けて「私」の思いを見つめなおしてみようと思っている。