Nosima Contemporary Art Museum

団体旅行の哀しい定めか、美術館の中を直島文化村のスタッフの方に案内された。そして、一つ一つの作品の説明をされてしまった。聞いていてどれもがなるほどと、納得させられる見事な説明だった。それを聞いてしまうと、それ以外のことは何の空想も浮かばなかった。写真左上のみんなが座っている大きな石の作品は、手のひらのくぼみの形だそうで、太陽の光が一人一人の手のひらに注がれていることのよろこびを現わしているのだそうだ。本当にそんなことを現わそうとしたのなら、なんとつまらないことか、聞いていてばかばかしくなってしまった。そんなわけで、美術館の作品にはたいした驚きも感動もなかった。ただ「100生きて死ね」の電飾は広い空間の中で、美しかった。

時間がなくてリフトで移動するホテル棟には行くことが出来ず、そこの絵画やアネックスの様子を見ることが出来なくて残念だった。ここまで来てなんて馬鹿な、という話である。もう一度ゆっくり来る機会を作ったと思えば、それもいいかと、哀しい納得をして直島を後にした。しかし直島の空間は素晴らしかった。自然と芸術と、とても贅沢な時を過ごせた。あわただしい直島ツアーであったが、現代アートの旅はみんな大満足だった。