氏 名 原田俊宏 

玉乃井旅館
2002・7・21sun−8・18sun

 


 

 
氏名という展覧会の案内をいただいた。会場は最近お付き合いが始まった安部文範氏の自宅、今は廃業した玉乃井旅館の広い空間を利用しての展覧会。予約の電話を入れて午後一時に約束をした。
案内された展示場はこの前訪れたときの大広間。鴨居の所に「原田俊宏」とフェルトペンで書かれた色紙が沢山並んでいた。形はそれぞれに違うが雰囲気はどれも同じだった。素晴らしく上手いという字でもなく、それを見ただけではどうって無いものだった。
作家の原田さんはおられなくて、安部さんが相手をしてくれた。庭で取れた冷たいミントティをいただく。初めての味覚がとても新鮮。書かれている色紙の文字は、原田さんのところに来た手紙や葉書の宛名を忠実に模写したそうで、原田さんにとってその行為はとても創造的なものらしい。私は字を訓練した人間で忠実に模写をする事にとても時間をかけたことがある。そんな自分が同じ事をしても、こんな風に似てしまうものだろうかと興味深い。
津屋崎に來る前に基山の中川さんのところに寄って、卵をもらってきた。コーヒーを誘われたので上がりこんで話した事がテレビ取材についての話だった。自給自足の生活を目指ながら養鶏場を営む中川さんの事を紹介したいと、4年前から電話での打診があっているという。断りつづけているのだが、宮崎に来たから帰りによって話をしたいと、中央のメディアのディレクターが来られたという事だった。それでも中川さんは断ったそうだが、ディレクターとは意気投合したそうだ。そのうちテレビで中川さんを見る事になるかもしれんといいながら、お暇をしてきた。
津屋崎でもメディアの話になった。かつて安部さんもあるイベントを、積極的に働きかけをしながらテレビや新聞に取材してもらったそうである。計画された段取りに想像以上にエネルギーを吸い取られてしまったそうである。下手をすると何もかも失ってしまう危険性が強いという事だった。私自身かつてはメディアを否定していたが、最近はネットワーク作りなど、その方面に力を入れようを考えていたところなので、ちょっと止まってみようかなという気になった。
ところで今回の「氏名」という展覧会。私にとても気持ちのいい空気と、展覧会に前向きになれる、行為の重要性を感じさせてくれた。

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