ルイジアナ美術館

Manchester
18日19日は二日とも移動日である。KLMを利用して安く旅するために、オランダを経由してデンマークへ入るプランを立てた。マンチェスターからコペンハーゲンへ直接行けば1日のホテル代や旅費が浮くから、無理しなくてもよさそうなもだが、やはり相当安くなるらしい。そんなわけでマンチェスターの空港の傍のラディソン・サス・ホテルに無事着くことが18日の目的である。途中マンチェスターの市内見物。2時を過ぎていたのでまず昼食をとることにする。迷ったあげくイタリアンレストランに入る。ペンネとトマトのピッツァを取って3人で分けて食べた。それがとても美味しかった。スパゲッティも食べてみたかった。マンチェスターは何も調べていなかったので、中心街をただ歩いてみた。デパートとショッピングモールを見るが欲しくなるような面白い物は何もなかった。ただ、デパートで見たガスレンジは安い値段で、造りがしっかりしていて美しかった。街を歩いても大して面白くないので、早めにホテルへ向かう。
そしてホテルでとんでもないことをしてしまった。危うく大騒ぎになるところだった。ホテルの部屋に入ると、3人で泊まるのに補助ベットが置いてなかった。おかしいなということで壁のドアを開けると隣の部屋へ入れて、ベットが二つ並んでいる。ああ、なんだ2部屋使っていいのかと勘違いしてしまった。川口さんは早速風呂に入って寛いでいる。するとドアをノックする音がして、ボーイさんがベットを持ってきた。その時成一はお金がいるのかと聞いて、いるということなので必要ないと断ってしまった。私は手洗いから出てきて、様子を聞いてみてどうもおかしいと感じた。隣を使ってはいけないのじゃないかと思った。成一がテレビの画面を見るとWell Come・・・・と別の人の名前が入っていた。あわてて川口さんに風呂から出てもらって、ベットをまた持ってきてくれるように頼んでもらった。ベットも来てしばらくすると、またノックする音。隣の部屋がカードキーで開かないので、こちらから入らせてくれということだった。メイドさんが内から鍵をかけ、私たちの部屋から出て行ってしまったようだ。今度は隣へ入れないように鍵が閉められた。それにしても間一髪である。部屋を使っている時にこられたら大変だった。
夕食はホテルのレストラン。サンドイッチとビールで済ませた。

翌朝ホテルを出る時に夕食代を払おうとすると、伝票が届いてないという。レストランに確認をしても解からないということで、結局テーブルリザーブの5ポンドだけでいいということになった。得をした。ハイテクのホテルなのに色々なことが起きるもんだと思った。
ホテルと空港ビルはつながっていて歩いてすぐだった。待合室の案内板で10:20発のアムステルダム行きを見るとゲートナンバーが出ていない。よく見ると8時台に出るはずのアムステルダム行きがまだ飛んでいなかった。1時間以上待たされてやっと飛び立つ。スキポール空港に着きあわててコペンハーゲン行きのゲートへ行くが、飛行機はすでに飛んでしまっていた。そこで1時間ばかり待ち臨時便に乗り込んだ。霧でスケジュールが狂ってしまったそうだ。コペンハーゲンのホテルに着いたのは6時を過ぎていた。古くて暗いホテルだった。夕食がホテルにはなかったので、近くのコペンハーゲン駅に行き待合いのカフェでピッツァとビールを食べる。今度は美味しくなかった。

Louisiana Museum
   

   

   

   

20日は11日目である。朝9時ごろホテルを出る。コペンハーゲン駅で美術館の入場券も含めた割安の往復のチケットを買う。ルイジアナ美術館のある、何とかという駅へ向かう。下の写真の下2枚がその何とかという駅で撮った物。さりげなくデンマークの若い女性を撮りこんだ。その上の2枚は美術館の帰りに林の中の道で、川内さんから是非この道を通って美術館へ行ったらいいと言われていた。行きは駅からどの方向へ行ったらいいのか見当がつかず、見つけた道案内の通りに歩いていったので、帰りにその道を通った。林の影の家は、写真ではよく解からないが、漆喰の壁に麦藁の屋根をかぶせた、とても素敵な家だった。右は川口さんから撮ってもらった。

さて、ルイジアナ美術館であるが、中に入ってその様子に度肝を抜かれた。歩いて来た広い道沿いに、美術館の駐車場があった。そこで周りを見渡したが、美術館らしい建物が見当たらないので、まだ随分歩かなければいけないのかと思っていたら、美術館はすぐ横の2階建ての民家だった。上の写真の上2枚がそうだ。へえここかと思って中に入ったら、別世界が広がっていた。
モダンな広い空間でまず書籍やグッズの売り場が目に入った。いろいろな方向に導線が広がっていて、3人ばらばらで好きな方へと動き出す。回廊を歩いていくと展示空間に出る。出口が二つあり、一方を選ぶ。そうするとまた見え方の違う空間に出る。そのうち自分がどこにいるのか解からなくなる。迷路にはまり込んだ気分だ。ピカソの作品に出会う。やはりいい。スケールが違う。外に出れるドアがある。氷の張った池があり、そのほとりにさまざまな木や板を使った造形物が点在している。面白そうなので外に出て、風景の中の写真なら撮ってもいいだろうと写真に収めた。そして海の見える方の庭に出ると、こちらは石や金属で作った彫刻やオブジェが風景の中に収まっていた。この美術館を歩きながら、去年の6月に行った直島を思い出していた。直島のアイデアはこのルイジアナ美術館なんだと。地形をそのままに利用した建物は、地下に下りたと思っていたら明るい庭があるし、2階だと思っても外に出られるしで、とても楽しい気分にしてくれる。大体見てしまったのかなと思った頃成一に出会う。一緒に庭を散歩する。外からレストランを覗いてみると川口さんが寛いでいる。久し振りに会ったという感じがした。ここでもカプチーノを頼む。海の見える大きな窓の外には黒や赤や他に色があったかもしれないが、カルダーの風に動くオブジェが様になっている。中は暖炉の炎とテーブルに置かれたローソクの炎が揺れている。明かりの使い方が日本とは随分違う。たくさんの人達がいるのだが、自分の時間が持てゆったりと出来る。
さて印象に残った作品は、有名なピカソやジャコメッティを除くと、ブラックで面を表現していた版画が印象に残っている。でも、建物の凄さに比べると中の現代作家の作品は魅力に乏しい物が多かった。ロンドンで見たブレークの作品を思う時、創造性の豊かさ、充実した技術、どうしようもないくらいの真摯な態度、斬新さ、これらの物が渾然一体として、そこに在った。現代作家のものからは残念ながら、感性の断片が並べられているようにしか感じなかった。今までどんな展覧会を見ても思ったことはなかったのだが、もしここにモダンな書をもってきたら、どんな抽象作品よりも映えるだろうと感じた。

   

   

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