家プロジェクト
直島の本村地区には古い民家が沢山残っている。そういう民家が取り壊されてモダンな建物に変わりつつある。それはもったいないという事で、ベネッセが買い取り色々な建築家に改築してもらい、民家美術館として遺していこうという家プロジェクトが進んでいる。
今見れるのは宮島達男の「角屋」と安藤忠雄の「南寺」である。角屋は昔の姿をとどめているが、南寺は全く作り変えられていた。角屋の座敷には全体に水が張られており、その中に赤や黄色のデジタルで数字が出てくるカウンターがたくさん並べられていた。カウンターは土地の人達に自分の好きな速さで設定してもらったそうである。真っ暗な部屋の中で時がそれぞれの速さで刻まれていく様子を、しばし眺めていた。というのは嘘で、写真をカシャカシャやっていた。
南寺は感動ものだった。伝統とモダンがいつも私の中で葛藤しているのだが、伝統もモダンもすべて安藤忠雄の人の中で燃焼してしまっている、そんな「南寺」だった。南寺の中には現代アートのジェームス・タレルの作品だけが存在していた。真っ暗闇の中を壁伝いに誘導されていった。そして「正面を見てください。そのうちに白いスクリーン見えてきます」何も見えない。恐る恐るじっと立っていた。そうすると横の方で「アッ、見えて来た」私にはまだ何も見えない。・・・やっと白いボンヤリとしたものが現れて来た。光の物体そのものだそうだ。アートってなんだ?それは規定出来ないもの?存在の在りよう?それにしても不思議体験だった。
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